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「重要事項説明書」って?売買契約を締結するまでの間に宅地建物取引士から受ける重要な事項の説明
宅地建物取引士にしかできない重説
不動産売買のお取引は、高額である為トラブルにならないよう慎重に進めなくてはなりません。そのために宅地建物取引業者(宅建業者)は契約が成立するまでの間に、物件の内容や取引条件など、その物件を買うのか買わないのかを判断するための重要な事項について「重要事項説明書(重説)」を交付し、説明することが宅建業法第35条で定められています。この重要な事項については、宅地建物取引士が内容を記載した書面(重要事項説明書)に記名・押印し、交付した上で、口頭で説明を行わなければなりません。
最終的な判断をするためにも、重要な事項の内容を十分理解することが大切です。
以下に売買のお取引についてのみ説明します。
【重要事項説明を受けるタイミングは?】
通常、売買契約を締結する当日に、売主様・買主様・不動産会社の担当者などが集まり、
①宅地建物取引士から「重要事項説明書」の説明を受けます。
②重要事項の説明を受け、買主様・売主様双方が合意すれば「売買契約書」の締結となります。
③売買契約締結後、現金などにより手付金の授受を行います。
上記①~③の全てを当日行うことが一般的です。
しかし、重要事項説明を受けた結果、最終的に購入を見送ることもあり得ます。
重要事項説明は、その物件についての情報や取引の条件をきちんと聞いた上で、買主様が最終的な購入の判断をするためのものです。
購入しようと思う物件が見つかったら、できれば早めに重要事項の説明を受けることをお勧めします。疑問点がある場合は宅地建物取引士に質問して、じっくり検討してから売買契約をするかどうかの判断をしましょう。
宅建業法で「売買契約を締結するまでの間に」と規定しているのは、事前に宅地建物取引士より重要事項の説明を受けた上で、検討の時間を取る、という消費者保護の観点からです。
疑問点などを解消してから売買契約に臨みたいものです。
そのためには、あらかじめ不動産会社の担当者などに重要事項説明と売買契約のスケジュールを確認しておきましょう。売買にかかわる交渉の最終段階では、どうしても検討する時間的余裕がなくなりがちですが、しっかりと考えて最終判断ができるよう、遠慮せずにスケジュールを調整することも大事です。
【重要事項説明書の記載内容】
大きく分けて、「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」ですが、宅地建物取引業法で説明すべき事項が細かく定められています。
重要事項説明書には、専門的な内容や文言が記載されているため、難しい印象を受けますが、ひとつひとつ丁寧に解説してもらえば理解することはできるはずです。
重要事項説明の全体像を把握した上でポイントを確認していくと、より理解しやすくなると思います。
1、対象物件に関する事項
登記された権利の種類、内容
購入予定物件の現所有者はだれか、抵当権などが登記されている場合はその内容が記載・説明がされます。差押えなどの登記が無いかも登記簿謄本と重説を確認してください。
2、法令上の制限
購入予定物件が都市計画法や建築基準法などの法令により、どのような制限を受けるのかが記載されています。建築予定の建物を建てることが出来るのか、あるいは将来建替える時にどんな制限を受けるのかなどをきちんと確認しておきましょう。通常、宅建業者は重説に「重要事項説明書説明資料」という資料を添付しますので、この資料を見ながら説明を受けると理解しやすいと思います。
3、私道負担に関する事項
建築基準法では、建物の敷地は幅4m以上の道路に2m以上接しないと建築ができないとされています。そのため、敷地をセットバックして私道を作って接道させるような場合、この私道のために負担する面積やその維持費などについて記載・説明されます。私道負担がない場合は、(私道負担:無)と記載されます。
4.道路と敷地の関係について
道路は敷地との関係でとても重要です。見た目は普通の道路でも、建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければ、原則として建物を建てることができません。トラブルになった例がたくさんありますので、前面道路が建築基準法で認められた道路の種類かどうかをよく確認し、特に狭い土地などは説明をよく聞いてください。
5、電気・ガス・水道、下水の状況(ライフラインについて)
ガスは都市ガスかプロパンガスかなど、インフラの設備について記載・説明があります。その施設がすぐに利用できる状況にあるのか、整備されていない場合は、整備するための負担金の有無などが記載されます。また、水道管が他人の土地を通って引き込まれているような場合があります。家を建て替えたり、古い水道管を取り替えるなどの場合、隣地に入って工事をしなければならないといった状況が考えられます。後々のトラブルに発展しないようよく確認してください。
6、未完成物件は工事完了後における形状・構造など
未完成の建物の場合、主要構造部や外装、内装の仕上げ、設備の配置などについて資料や図面などを基に説明されます。土地の場合は、道路の種類・幅員について説明されます。
7、その他の制限
災害や地震に関する重要事項について記載・説明があります。
購入予定の物件の土地が土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に指定されているかどうかなどは、購入するかどうかの判断をする時の重要な事項です。それ以外にも、古い建物だとアスベストの使用調査や耐震診断の有無、その内容が説明されます。
・造成宅地防災区域内にあるか否か?
大規模な盛土などで造成された宅地で地盤災害が発生する恐れのある地域にある場合はその内容が記載・説明されます。
・土砂災害警戒区域内にあるか否か? 土砂災害が発生した場合、建物が押し流されたりし、著しい被害が発生する 可能性があると想定される区域内ある場合はその内容が記載・説明されます。
・津波災害警戒区域内にあるか否か? 津波による浸水が想定される区域にあればその内容が記載・説明されます。
・アスベスト(石綿)の使用の有無と調査結果 肺がんなどの発がん性のあるアスベストが使用されている家屋である調査結果があればその内容が記載・説明されます。調査義務はないので調査をしていない場合は、無しと記載・説明されます。
・耐震診断を受けている場合の内容 昭和56年6月1日以前の旧耐震基準で建設された物件が、耐震診断を受けている場合はその内容が記載・説明されます。
・住宅性能評価を受けた新築住宅である場合 住宅性能評価は国交省に登録された第三者機関が行います。建物の強さや省エネ性などの性能を評価するものです。評価された住宅であればその旨が記載・説明されます。
【取引条件に関する事項】
取引条件の中の、特にお金に関するところは、きちんと理解して契約しないと後々トラブルになることが多いです。不動産取引は売買代金以外に授受するお金があります。例えば手付金や固定資産税等の日割り清算、中古マンションなどの場合は管理費などの清算金などがありますので、金額・支払時期を含めきちんと確認しましょう。
1、代金(交換差金)、借賃以外の金銭の額と目的
手付金、固定資産税・都市計画税などの売買代金以外に必要な金銭が記載・説明されます。
2、契約解除に関する事項
相手方が契約の履行に着手する前であれば、買主様は手付金を放棄することで契約の解除ができます。売主様は手付金の倍額を支払えば契約の解除ができるということが記載・説明されます。
3、損害賠償の予定、違約金に関する事項
代金を支払ったのに売主様が物件を引き渡してくれない、逆に買主様が代金を支払わないといった場合の違約金の支払額や損害賠償の取り決めが記載・説明されます。
4、手付金等の保全措置の概要
この手付金等の保全措置は、売主様が宅地建物取引業者の場合、宅建業法で規定されているものです。
宅建業者である売主様が売買契約をした物件を買主様に引き渡す前に、倒産あるいは廃業してしまったりすると、支払った手付金が返還されないといった事態が生じます。そのような事態を防ぐための保全措置が記載・説明されます。
保全措置が必要なケースは、手付金額が未完成物件の場合は購入物件代金の5%を超えるか1,000万円以上の場合、完成物件の場合は購入物件代金の10%を超えるか1,000万円以上の場合は保全措置をとらなければなりません。保全の方法は銀行などによる連帯保証、保険事業者による保険、指定保管機関による現金の保管などがあります。
5、支払金・預り金の保全措置の概要
この保全措置も売主様が宅地建物取引業者の場合、講じなければならないと宅建業法で規定されているものです。買主様の精算金(登記費用や固都税など)を不動産会社が代行して行う金銭を伴う措置などに対して、不動産会社が50万円以上の金銭を預かる場合は保全措置を講じなければなりません。保全措置の有無や保全措置が取られた場合はその内容が記載・説明されます。
6、あっせんするローンの内容、ローン不承認の場合の措置
住宅ローンについての記載・説明があります。不動産の購入は高額であるためほとんどの方が住宅ローンを利用します。融資が受けられなかった場合など、取り決めが無いと大変なことになります。記載されている項目は、金融機関名や融資金額、金利、借入期間、あっせんの有無、住宅ローン保証料の額、銀行事務手数料などです。融資を受けられなかった場合は、契約が解除され(ローン特約・白紙解約)、手付金として支払った金銭は全額返却されるなどの措置がきちんと記載されているかを確認しましょう。
7、瑕疵担保責任の履行措置
新築物件の場合、住宅瑕疵担保履行法の施行により新築住宅を供給する建設業の許可を受けた宅地建物取引業者には資力確保措置として、保証金の供託または保険への加入が義務付けられています。新築物件に瑕疵(欠陥)があった場合、売主様は瑕疵を修復する義務がありますが、売主様が倒産などで責任を負えないといったことがないように、資力を確保するために保証金を供託するか保険に加入しなければなりません。供託金の場合は、供託先や供託している金額が記載・説明されます。保険を付保した場合は、保険名称・目的・期間・保険金額・補償する瑕疵の対象が記載・説明されます。
8、割賦販売に関する事項
この割賦販売に該当するケースはほとんどありません。
【中古マンションなどの区分所有建物に関する事項】
中古マンションなどの区分所有建物は、他の所有者と共同で管理していく必要があるため、管理規約など一戸建建物にはない説明があります。
専有部分の用途、その他利用の制限に関する規約の定めや、廊下やエレベーターなどの共用部分に関する規約の定めなどがあります。
1、建物の敷地に関する権利の種類、内容
物件名称や敷地面積、所有権なのか借地権なのかが記載、説明されます。
2、 規約共用部分
集会所や管理室、倉庫など管理規約によって共有部分としている時はその旨が記載、説明されます。
3、占有部分の利用制限があるときはその内容
占有部分とは購入者が所有する部屋です。利用制限とはペットが飼えないとか、事務所としての利用はできないなどの取り決めがある場合記載・説明されます。
4、建物または敷地の一部を特定の者のみに使用を許す規約の定め
1階の所有者のみ専用庭の使用が可能や、抽選で当たった人だけが駐車場を使用できるなど、特定の人のみ建物または敷地の一部が利用できる場合が説明・記載されます。
5、管理費等が特定の者のみ減免される既定の定めがある場合はその旨
売れ残りのある分譲マンションで、管理費および修繕積立金を分譲会社は負担しないなどの規約がある場合は記載・説明さます。この費用は区分所有者が負担することになります。
6、 計画修繕積立金の内容、既積立額
修繕積立金の毎月の額、すでに積み立てられている額、滞納があればその額とその支払(精算)方法が記載・説明されます。購入物件の部屋に滞納がある場合は買主様が支払うことになるケースもありますので注意が必要です。
7、 管理費の額
管理費の毎月の額、滞納があればその額とその支払(精算)方法が記載、説明されます。修繕積立金同様、購入物件の部屋に滞納がある場合は買主様が支払うことになるケースがあります。
8、 管理受託者の名称、住所
管理形態(全面委託管理、一部委託管理、自主管理)、委託先の名称、住所、連絡先などが記載・説明されます。
9、 維持修繕の実施状況の記録がある場合はその内容
外壁塗装や大規模修繕工事など過去の修繕内容などの記録が記載、説明されます。
【中古住宅のお取引】
中古住宅については、過去の改装や改築の履歴・隠れた瑕疵(かし)が問題になることがあります。しかし、これらの売主様にしか分からない事項については、不動産会社が全て把握するには限界があります。多くの不動産会社では、売主様の協力の下、告知書(付帯設備及び物件状況確認書)を提出してもらい、それに基づく物件調査を行い、重要事項説明に反映させています。
【重要事項説明書は重要な判断材料】
重要事項説明書の交付と説明は、契約の最終的な意思決定を行う重要な判断材料となります。
理解できず不安を残したまま記名・押印することがないよう事前に概要を確認しておきましょう。
また、重要事項説明は、買主様(購入者)に対して行われますが、売主様もその内容を確認しておくことが、後々のトラブルを防ぐためにも大切です。
万が一、売主様が正しい情報を不動産会社に告げなかったことにより、買主様とトラブルが発生したときには、売主様が損害賠償を請求される可能性もあります。
・売主様が提供した情報にモレはないか、
・売主様が提供した情報が重要事項説明書に正しく記載されているか、
などを、きちんと確認しましょう。
重要事項説明書の内容に間違いや問題がある場合は、不動産会社(宅地建物取引士)に連絡して、重要事項説明書を修正・訂正してもらいましょう。
以上長々と書きましたが、正確な情報をきちんと知って判断すれば不動産の取引は決して怖いものではありません。
重要事項説明をきちんと聞いて、分からないときはその都度、宅地建物取引士に納得するまで聞くようにしてください。そうすることでトラブルの危険性は大幅に回避できます。
わからないことや不安になることがあれば、いつでもベスト仲介を運営するT・Мプランニング(株)までご相談ください。
24/12/14
24/12/13
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宅地建物取引士にしかできない重説
不動産売買のお取引は、高額である為トラブルにならないよう慎重に進めなくてはなりません。そのために宅地建物取引業者(宅建業者)は契約が成立するまでの間に、物件の内容や取引条件など、その物件を買うのか買わないのかを判断するための重要な事項について「重要事項説明書(重説)」を交付し、説明することが宅建業法第35条で定められています。この重要な事項については、宅地建物取引士が内容を記載した書面(重要事項説明書)に記名・押印し、交付した上で、口頭で説明を行わなければなりません。
最終的な判断をするためにも、重要な事項の内容を十分理解することが大切です。
以下に売買のお取引についてのみ説明します。
【重要事項説明を受けるタイミングは?】
通常、売買契約を締結する当日に、売主様・買主様・不動産会社の担当者などが集まり、
①宅地建物取引士から「重要事項説明書」の説明を受けます。
②重要事項の説明を受け、買主様・売主様双方が合意すれば「売買契約書」の締結となります。
③売買契約締結後、現金などにより手付金の授受を行います。
上記①~③の全てを当日行うことが一般的です。
しかし、重要事項説明を受けた結果、最終的に購入を見送ることもあり得ます。
重要事項説明は、その物件についての情報や取引の条件をきちんと聞いた上で、買主様が最終的な購入の判断をするためのものです。
購入しようと思う物件が見つかったら、できれば早めに重要事項の説明を受けることをお勧めします。疑問点がある場合は宅地建物取引士に質問して、じっくり検討してから売買契約をするかどうかの判断をしましょう。
宅建業法で「売買契約を締結するまでの間に」と規定しているのは、事前に宅地建物取引士より重要事項の説明を受けた上で、検討の時間を取る、という消費者保護の観点からです。
疑問点などを解消してから売買契約に臨みたいものです。
そのためには、あらかじめ不動産会社の担当者などに重要事項説明と売買契約のスケジュールを確認しておきましょう。売買にかかわる交渉の最終段階では、どうしても検討する時間的余裕がなくなりがちですが、しっかりと考えて最終判断ができるよう、遠慮せずにスケジュールを調整することも大事です。
【重要事項説明書の記載内容】
大きく分けて、「対象物件に関する事項」と「取引条件に関する事項」ですが、宅地建物取引業法で説明すべき事項が細かく定められています。
重要事項説明書には、専門的な内容や文言が記載されているため、難しい印象を受けますが、ひとつひとつ丁寧に解説してもらえば理解することはできるはずです。
重要事項説明の全体像を把握した上でポイントを確認していくと、より理解しやすくなると思います。
1、対象物件に関する事項
登記された権利の種類、内容
購入予定物件の現所有者はだれか、抵当権などが登記されている場合はその内容が記載・説明がされます。差押えなどの登記が無いかも登記簿謄本と重説を確認してください。
2、法令上の制限
購入予定物件が都市計画法や建築基準法などの法令により、どのような制限を受けるのかが記載されています。建築予定の建物を建てることが出来るのか、あるいは将来建替える時にどんな制限を受けるのかなどをきちんと確認しておきましょう。通常、宅建業者は重説に「重要事項説明書説明資料」という資料を添付しますので、この資料を見ながら説明を受けると理解しやすいと思います。
3、私道負担に関する事項
建築基準法では、建物の敷地は幅4m以上の道路に2m以上接しないと建築ができないとされています。そのため、敷地をセットバックして私道を作って接道させるような場合、この私道のために負担する面積やその維持費などについて記載・説明されます。私道負担がない場合は、(私道負担:無)と記載されます。
4.道路と敷地の関係について
道路は敷地との関係でとても重要です。見た目は普通の道路でも、建築基準法で認められた道路に2m以上接していなければ、原則として建物を建てることができません。トラブルになった例がたくさんありますので、前面道路が建築基準法で認められた道路の種類かどうかをよく確認し、特に狭い土地などは説明をよく聞いてください。
5、電気・ガス・水道、下水の状況(ライフラインについて)
ガスは都市ガスかプロパンガスかなど、インフラの設備について記載・説明があります。その施設がすぐに利用できる状況にあるのか、整備されていない場合は、整備するための負担金の有無などが記載されます。また、水道管が他人の土地を通って引き込まれているような場合があります。家を建て替えたり、古い水道管を取り替えるなどの場合、隣地に入って工事をしなければならないといった状況が考えられます。後々のトラブルに発展しないようよく確認してください。
6、未完成物件は工事完了後における形状・構造など
未完成の建物の場合、主要構造部や外装、内装の仕上げ、設備の配置などについて資料や図面などを基に説明されます。土地の場合は、道路の種類・幅員について説明されます。
7、その他の制限
災害や地震に関する重要事項について記載・説明があります。
購入予定の物件の土地が土砂災害警戒区域や津波災害警戒区域に指定されているかどうかなどは、購入するかどうかの判断をする時の重要な事項です。それ以外にも、古い建物だとアスベストの使用調査や耐震診断の有無、その内容が説明されます。
・造成宅地防災区域内にあるか否か?
大規模な盛土などで造成された宅地で地盤災害が発生する恐れのある地域にある場合はその内容が記載・説明されます。
・土砂災害警戒区域内にあるか否か?
土砂災害が発生した場合、建物が押し流されたりし、著しい被害が発生する 可能性があると想定される区域内ある場合はその内容が記載・説明されます。
・津波災害警戒区域内にあるか否か?
津波による浸水が想定される区域にあればその内容が記載・説明されます。
・アスベスト(石綿)の使用の有無と調査結果
肺がんなどの発がん性のあるアスベストが使用されている家屋である調査結果があればその内容が記載・説明されます。調査義務はないので調査をしていない場合は、無しと記載・説明されます。
・耐震診断を受けている場合の内容
昭和56年6月1日以前の旧耐震基準で建設された物件が、耐震診断を受けている場合はその内容が記載・説明されます。
・住宅性能評価を受けた新築住宅である場合
住宅性能評価は国交省に登録された第三者機関が行います。建物の強さや省エネ性などの性能を評価するものです。評価された住宅であればその旨が記載・説明されます。
【取引条件に関する事項】
取引条件の中の、特にお金に関するところは、きちんと理解して契約しないと後々トラブルになることが多いです。不動産取引は売買代金以外に授受するお金があります。例えば手付金や固定資産税等の日割り清算、中古マンションなどの場合は管理費などの清算金などがありますので、金額・支払時期を含めきちんと確認しましょう。
1、代金(交換差金)、借賃以外の金銭の額と目的
手付金、固定資産税・都市計画税などの売買代金以外に必要な金銭が記載・説明されます。
2、契約解除に関する事項
相手方が契約の履行に着手する前であれば、買主様は手付金を放棄することで契約の解除ができます。売主様は手付金の倍額を支払えば契約の解除ができるということが記載・説明されます。
3、損害賠償の予定、違約金に関する事項
代金を支払ったのに売主様が物件を引き渡してくれない、逆に買主様が代金を支払わないといった場合の違約金の支払額や損害賠償の取り決めが記載・説明されます。
4、手付金等の保全措置の概要
この手付金等の保全措置は、売主様が宅地建物取引業者の場合、宅建業法で規定されているものです。
宅建業者である売主様が売買契約をした物件を買主様に引き渡す前に、倒産あるいは廃業してしまったりすると、支払った手付金が返還されないといった事態が生じます。そのような事態を防ぐための保全措置が記載・説明されます。
保全措置が必要なケースは、手付金額が未完成物件の場合は購入物件代金の5%を超えるか1,000万円以上の場合、完成物件の場合は購入物件代金の10%を超えるか1,000万円以上の場合は保全措置をとらなければなりません。保全の方法は銀行などによる連帯保証、保険事業者による保険、指定保管機関による現金の保管などがあります。
5、支払金・預り金の保全措置の概要
この保全措置も売主様が宅地建物取引業者の場合、講じなければならないと宅建業法で規定されているものです。買主様の精算金(登記費用や固都税など)を不動産会社が代行して行う金銭を伴う措置などに対して、不動産会社が50万円以上の金銭を預かる場合は保全措置を講じなければなりません。保全措置の有無や保全措置が取られた場合はその内容が記載・説明されます。
6、あっせんするローンの内容、ローン不承認の場合の措置
住宅ローンについての記載・説明があります。不動産の購入は高額であるためほとんどの方が住宅ローンを利用します。融資が受けられなかった場合など、取り決めが無いと大変なことになります。記載されている項目は、金融機関名や融資金額、金利、借入期間、あっせんの有無、住宅ローン保証料の額、銀行事務手数料などです。融資を受けられなかった場合は、契約が解除され(ローン特約・白紙解約)、手付金として支払った金銭は全額返却されるなどの措置がきちんと記載されているかを確認しましょう。
7、瑕疵担保責任の履行措置
新築物件の場合、住宅瑕疵担保履行法の施行により新築住宅を供給する建設業の許可を受けた宅地建物取引業者には資力確保措置として、保証金の供託または保険への加入が義務付けられています。新築物件に瑕疵(欠陥)があった場合、売主様は瑕疵を修復する義務がありますが、売主様が倒産などで責任を負えないといったことがないように、資力を確保するために保証金を供託するか保険に加入しなければなりません。供託金の場合は、供託先や供託している金額が記載・説明されます。保険を付保した場合は、保険名称・目的・期間・保険金額・補償する瑕疵の対象が記載・説明されます。
8、割賦販売に関する事項
この割賦販売に該当するケースはほとんどありません。
【中古マンションなどの区分所有建物に関する事項】
中古マンションなどの区分所有建物は、他の所有者と共同で管理していく必要があるため、管理規約など一戸建建物にはない説明があります。
専有部分の用途、その他利用の制限に関する規約の定めや、廊下やエレベーターなどの共用部分に関する規約の定めなどがあります。
1、建物の敷地に関する権利の種類、内容
物件名称や敷地面積、所有権なのか借地権なのかが記載、説明されます。
2、 規約共用部分
集会所や管理室、倉庫など管理規約によって共有部分としている時はその旨が記載、説明されます。
3、占有部分の利用制限があるときはその内容
占有部分とは購入者が所有する部屋です。利用制限とはペットが飼えないとか、事務所としての利用はできないなどの取り決めがある場合記載・説明されます。
4、建物または敷地の一部を特定の者のみに使用を許す規約の定め
1階の所有者のみ専用庭の使用が可能や、抽選で当たった人だけが駐車場を使用できるなど、特定の人のみ建物または敷地の一部が利用できる場合が説明・記載されます。
5、管理費等が特定の者のみ減免される既定の定めがある場合はその旨
売れ残りのある分譲マンションで、管理費および修繕積立金を分譲会社は負担しないなどの規約がある場合は記載・説明さます。この費用は区分所有者が負担することになります。
6、 計画修繕積立金の内容、既積立額
修繕積立金の毎月の額、すでに積み立てられている額、滞納があればその額とその支払(精算)方法が記載・説明されます。購入物件の部屋に滞納がある場合は買主様が支払うことになるケースもありますので注意が必要です。
7、 管理費の額
管理費の毎月の額、滞納があればその額とその支払(精算)方法が記載、説明されます。修繕積立金同様、購入物件の部屋に滞納がある場合は買主様が支払うことになるケースがあります。
8、 管理受託者の名称、住所
管理形態(全面委託管理、一部委託管理、自主管理)、委託先の名称、住所、連絡先などが記載・説明されます。
9、 維持修繕の実施状況の記録がある場合はその内容
外壁塗装や大規模修繕工事など過去の修繕内容などの記録が記載、説明されます。
【中古住宅のお取引】
中古住宅については、過去の改装や改築の履歴・隠れた瑕疵(かし)が問題になることがあります。しかし、これらの売主様にしか分からない事項については、不動産会社が全て把握するには限界があります。多くの不動産会社では、売主様の協力の下、告知書(付帯設備及び物件状況確認書)を提出してもらい、それに基づく物件調査を行い、重要事項説明に反映させています。
【重要事項説明書は重要な判断材料】
重要事項説明書の交付と説明は、契約の最終的な意思決定を行う重要な判断材料となります。
理解できず不安を残したまま記名・押印することがないよう事前に概要を確認しておきましょう。
また、重要事項説明は、買主様(購入者)に対して行われますが、売主様もその内容を確認しておくことが、後々のトラブルを防ぐためにも大切です。
万が一、売主様が正しい情報を不動産会社に告げなかったことにより、買主様とトラブルが発生したときには、売主様が損害賠償を請求される可能性もあります。
・売主様が提供した情報にモレはないか、
・売主様が提供した情報が重要事項説明書に正しく記載されているか、
などを、きちんと確認しましょう。
重要事項説明書の内容に間違いや問題がある場合は、不動産会社(宅地建物取引士)に連絡して、重要事項説明書を修正・訂正してもらいましょう。
以上長々と書きましたが、正確な情報をきちんと知って判断すれば不動産の取引は決して怖いものではありません。
重要事項説明をきちんと聞いて、分からないときはその都度、宅地建物取引士に納得するまで聞くようにしてください。そうすることでトラブルの危険性は大幅に回避できます。
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